「しかし超……いくら最終日を回避させたとしても、カシオペアが彼らの手元にある以上
意味が無いのではないのか?」
「心配無用ネ。カシオペアは世界樹の魔力を動力源としてしか起動しない仕組みになっているし、
そもそも――万が一何らかの手段を用いて起動し直せたとしても、どれだけ時間を遡ったとしても、
絶対に私たちの前には戻れない」
「――何故?」
「『全ての航時機は並行世界間の移動装置として機能する』という話を聞いたことは無いカ?」
「……タイムパラドックスを回避するために考案された理論ですね。時間移動者が降り立った瞬間に
その時間軸が本来の歴史から外れてしまい、独立した並行世界に分岐するために、その世界での影響は
他の歴史に影響を及ぼさないという」
「――ああ、以前読まされた漫画でそういう話があったな。過去で人造人間を倒して帰っても結局
荒廃した世界は元に戻っていなかった」
「ご明察。所謂『多世界間解釈』ヨ。つまり、天文学的に低い可能性を全てクリアしたとしても、
ネギ坊主が計画実行前に『この』私たちの前に現れることはもう――決して無いネ」
「ふむ。それはいいが――超、その話を聞くと一つ疑問が生じるな」
「何カ?」
「お前が望むという歴史改変……それがもたらす意味だ」
「……」
「その理論が正しいというのなら、どれだけお前の望む世界を作ろうとお前の帰る歴史には何の変化も
及ぼさないはずだな?それならば何故尋常ではないリスクを犯してまでこんな計画を遂行しようとする」
「そんな事は百も承知。……私の世界を変える?」
「私は初めからそんなことを望んでいるわけでは無いヨ」
つまるところ。
彼らの旅路がかかる結果に辿り着く分岐もまた、どこかに存在していたと言えるわけであり――
「ちょっと待ってよ、ここ本当に麻帆良!?」
「そのはずです!世界樹もある、山も、川も、湖も……この地形は麻帆良だとしか考えられませんです!
いえでもおかしいです、あんなところに学校はありませんでしたですし……のどか、あれを!」
「……!?ネ、ネギ先生……あれって……?」
震えながらさしだされた指の先に見えたのは、見慣れた学園都市を封じ込めるかのごとくに聳え立つ、
「壁……!?」
ありとあらゆる交通機関を遮断する隔離用の防壁が、見慣れた景色の中で決定的に浮いている。
そして、
「魔力の気配……あなたたち、もしかして魔術師!?」
ざわめく少女達の前に、纏ったシスター服を何故かあちこち安全ピンで飾り立てた小柄な少女が現れた。
その横には少し背の高い眼鏡の少女が気弱げに佇み――
「へ?何で分かるん?」
「いやいや、正直に答えたら駄目でしょやっぱり!」
「えっと……そのツッコミをした時点で、結局認めたことになっちゃうと思うんだけど……」
と。
ぐにゃり。
ツッコミを入れるべく神楽坂明日菜に近づいた瞬間に、風斬氷華の体が古びたテレビの画像のように揺らぎ崩れる!
「なっなっなっな!?」
「おい何だこれは!新手の立体映像投影機か!?」
「目がチカチカするアルー!」
「え?え?え?やだ、ごめんなさい!?大丈夫!?ていうか何!?」
「……あの、大丈夫、みたいだけど……でもちょっと離れて……」
明日菜は急ぎ飛び退るも彼女の体は未だゴーストの如く、またその叫びを火種にするように、
ざわざわとした喧騒が周囲から沸き起こり――
「あーっ!何かマズイわよあたしたちすごく目立ってるー!!」
「アスナちょう落ち着いてー!」
「すいません、すいません、集まって来ないで下さい」
頭を抱えた明日菜と禁書目録の呼び名を持つシスターを連れて、一行はその場を逃げ去っていく――
「気付いていますか、お姉様」
「ええ。……さっきっからの嫌な予感は間違ってはいなかったというわけね。
他校の風紀委員も警備員も捉え切れていないのか……」
「生半な産業スパイでも諜報部でもない。このままではこちらの手数が明らかに足りませんわ」
「仕方ない、確実に連携の取れる人間だけでも纏め上げて迎撃に出るしかないわね。
生徒会メンバー全員を呼集する…………ところで黒子、さっきまでそこらうろついてたあの馬鹿は?」
「あの殿方でしたら今さっき格闘大会勧誘員にぶつかって連れ去られましたわ」
「……本当に年中無休でトラブルに巻き込まれてるのねアイツ……っと、失礼」
『いえ、お気になさらず』
一瞬肩が触れ合い、すぐに離れた。そのまますれ違っていく長身の少女に対し、御坂美琴は振り返って視線を送る。
「……お姉様?どうかしたんですの?」
「え?……いや何て言うか……今の人とぶつかった時に、妙な違和感があったのよね……」
『対電磁シールド負荷、許容範囲内。計画遂行に支障なし。目的地への移動を続行します。
……やはり、MIA拡散力場も近距離では影響が無視できないようですね』
自己診断プログラムを一瞬で走らせ終えると、絡繰茶々丸は歩調を速めて曲がり角の向こうへと消えた。
「本気で生徒をボコボコにする教師がいますか普通!」
「そ、そうなのですよー!いくら上条ちゃんでもあんなにぽかぽか叩いたらただでさえ無能力な才能が
さらにどうにかなってしまうのですよー!」
「アンタもさりげに酷いよ小萌先生!」
「なーにを言うじゃん月詠センセに上条当麻。一度闘いの場に立ったからには相対したものは皆等しく敵。
そこにはいかなるしがらみも入り込む余地は無い、ただ純粋に打ち倒さなければならない、
それが闘争ってもんじゃんよ。恨むんだったらトーナメントで先生と当たった不幸を呪うんだねえ。
いやー、しかしこれでやっと雀荘にツケが払えるなー」
「うわー、明らかに賭博関係のしがらみで賞金目当てに闘争の場に立ったよこの人は。
つうかもう不幸を呪うのも日常茶飯事で今更言われても捨て台詞とかじゃなくてちょっとした挨拶にしか聞こえない」
「それにしても、瞬間硬化素材を使ったグローブでしたたかに殴られてその程度というのも、君も本当に頑丈だね?
僕の診た患者の中でも二番目くらいに生き汚い生命力してるんじゃないかな?」
カエル面の医者が呆れ顔でぼやくその背後をすり抜けて、安全ピン付きシスター服の少女が診察室に飛び込んできた。
「とうま、とうま!何か凄く大変なことになってるんだよ!」
『この状況で必要悪の教会を動かすのはそちら側の利害にも一致するのではないかね?』
「よく言いたりけることよ。何を考えているのかは知らねども、そちらの目的がこちらに益を為す訳もあるまいに」
『そうとも限らない。……正直に言えば今回の事件、犯人は『科学側』。
そして目的は……『魔術側の技術を世界中に公表すること』なのだそうだ』
「はあ……!?」
『あくまで独走した単独犯だということを理解してもらいたい。これでは互いに技術独占をしているが故の
均衡が崩れ去る。現段階で力関係を崩すのはこちらとしても本位ではないしな』
そもそも、魔術活動の同時停止を目論むアレイスターにとってこれは手痛いイレギュラーなのだ。
しかし……思いがけない拾い物をすることになったのかも知れない。
ローラ・スチュアートとの通信を切断すると、彼はアロハシャツとサングラスの青年に指令を下す。
『魔法無効化能力者が確認されたという情報……確認を急がせろ』
「うむうむ、助かったでござるよ。何しろここまで広いと初めてではとんと勝手が分からん」
「何をおっしゃいますお嬢さん!女性に対しては最大限の努力を払って尽くすのが男という生き物の
正しいあり方に他なりません!それが貴女方のような麗しき人たちであればなおのこと!
お二人の醸し出すシャープな佇まいに古風な言葉遣い、なんとも美しいキャラクター造形やないですか!
これはこっちが古流剣術伝承者でこちらが現代に隠れ住む忍者の末裔というのが一番似合う属性やとボクぁ思うなあ」
「はっはっは、何を言っているのか皆目検討もつかんでござるが、こちらも急ぎの用事があるのでこれにて失礼」
なおも戯言を並べ立て続ける青い髪にピアスの少年を置き去りにして、楓と刹那は大通りを足早に進む。
「なるほど……つまり、ここは麻帆良であっても拙者たちの知っている麻帆良ではないというわけでござるな」
「学園都市であることは確かだが……どうも話を聞く限り、『超能力者養成機関』としての顔を持っているらしい」
「スプーンを曲げたりカードの絵を当てたり出来るようにしてくれるでござるか。手品師として一生やっていけそうで
良いことではござらんか」
「その程度のことなら楓はタネ無しで出来るだろうに……いや、麻帆良の人間なら結構な人数出来る人間が
いそうな気がするな」
「あれー?もしかしてさっきのお姉さんと知り合いやったりするんかな?」
何故か後ろを着いてきていたらしい青髪ピアスがにょっきりと首を突っ込んでくる。
ぎょっとした二人が振り返り、
「……人の後を着けてくるのはあまり趣味が良いとは言えんでござるよ」
「まあそれはともかくとしても……誰と知り合いだと?」
「いや、さっき道を聞かれたお姉さんもここのこと『マホラ』ゆーとったんで。
しかしあっちも負けず劣らずレベルの高いお人でしたな、こう言うなれば都会の闇に生きる仕事人というか。
あの色黒の肌に月光が照り映えて長い髪をなびかせながらライフルを構えたり、二挺拳銃持ってたりしたらもう完璧やなー」
その言葉を最後まで聞くことなく、今度こそ二人は全力で駆け出した。
「どうやらこれは……」
「知り合いに会えることになるかもしれないな」
「……また。あの人は女の子を惹きつけまくって。というか。今回は随分と記録更新気味な人数」
「すいません、そのタラコシェイクというのはどこで購入したものか教えていただけませんですか」
「あら、貴女も健康グッズに興味があるの?DHAとコラーゲンが手ごろに摂れていいわよこれ」
「うおー!すっごー!何これ何これ落ち目の出版社がしつこく連載させようとしてるマンガじゃあるまいし
超能力者養成学校って!
しかもテレビ見る限りまほら武道会並みのトンデモじゃん!いやーネギ君の時もびっくりしたけど
これだけ人数が多いともう笑うしかないって感じー!?」
「ぱ、パルちょっと静かにしないと周りの人たちに迷惑だから……」
「そうだなー、外部の人は初めてここに来ると大抵そういうリアクションをするなー。
でもマンガみたいなのはそれだけじゃないぞー、何を隠そう私の正体はー、メイドさん養成学校に通っている
メイドさん見習いだったりするんだなー」
「マジでー!?やっぱり『お帰りなさいませご主人様ー』みたいな発声練習してたりするのー!?」
何だか背後で盛り上がっている女子集団の群れの方に混ざりたいような面倒くさいから混ざりたくないような気分だった。
またぞろ魔術関連の厄介ごとに巻き込まれそうな上条にしてみれば無理も無い話だと思って欲しい。
「うおーやめろー!俺っちはお前の餌じゃねぇぇぇ!」
ついでに言えば足元では喋るイタチと三毛猫がドッグ・ファイトを演じているし。ああ普通に大覇星祭に参加したいなあ。
「偉大なる魔法使い……御伽噺にすら登場しない、人々を助けるための『良い魔法使い』のこと!?」
「はあ。……まだ見習いなんですけど」
「ふーん。……何のことだかさっぱり俺には分かりませんですが、どこかの根性曲がり神父とかより
65535倍は話が通じそうなお坊ちゃんだな」
「お、お坊ちゃん……僕はこれでも教師なんです、子供扱いはやめて下さい」
「ああ、そうなのか。悪い」
「……あの、すいません。自分から言い出しておいてどうかと思いますが、教師って聞いて驚かないんですか?」
「だって小萌先生よりよっぽど落ち着いてるしなあ」
で、その良い魔法使いが何の用なんだ?と上条が口に出す間もなく。
「つまるところ、下手をすればこの学園都市を中心に『科学』と『魔術』の間の戦争が起きる、ってわけだにゃー」
横手から聞こえてきた小さな小さな土御門の声が、彼の属する世界を一転させる。
追跡、会敵、そして――対峙。
「龍穴たる世界樹を押さえることでこの学園都市そのものを丸ごと『魔術』側の勢力下に収めるつもりか……!
そんなことをすれば『科学』側とのパワーバランスがひっくり返る!オカルト戦争でも起こすつもりなのか貴様は!」
「勘違いしないで欲しいネ。魔術と科学の勢力争いなんかには興味は無いヨ。
それにこの計画は元々アレイスターが打った布石を全てこちらで利用させてもらうだけのコト。世界中に能力者コピー
という種を撒いたのはそちらの方ネ。
まあ、末端の君が何も知らないのも無理は無いガ」
「超さん、何故あなたまでここに!?」
「フム、ネギ坊主……どうやら別の世界ではカシオペアをトラップとして使わせた私がいたようネ。
おそらく二度目になるだろうガあえて言うヨ。
理由を知りたくば、私に勝つか、仲間になることネ」
「ならやっぱり――あなたの目的は!?」
「……ふざけんな、勝手なことばかり吐かしてんじゃねえ!」
拳を握る上条を嘲笑うかのごとく、打撃が三度。それだけで、その場に二本の足で立つ者は一人だけになった――
「取り逃した……いや、見逃してもらえた、かにゃー」
「でもこれからどうするっていうんだよ!こっちから相手を探し出せないんじゃ打つ手がないだろ!」
「罠を張るしかない……ですか。使おうと思っていたアイデアはあるんですが、雪広さん、いえ、実行委員会側に
無理を通せる知り合いがいない今では少し無理が……」
「ちょい待て。つまり――実行委員側にツテがあればいいのか?」
「あるんですか!?」
「いや、まあ……土下座して罵声と健康グッズセット責めを乗り切れば、もしかしたら多少の都合が付くかも、
付くかな、付くといいなの三段活用形程度には」
「ったく何なんだこのスペックは!?大学部のスパコンだってこんなデタラメな処理速度無いぞ、どういう研究してたんだ
こっちの麻帆良は!」
「ぼやく割りには実に巧みな操作ですね、とミサカは感心します」
「……」
「……何か私の顔についていますか?とミサカは操作を休むことなく質問します」
「いや、何か……知り合いにちょっと似てたから」
やりにくいと感じながら、千雨は必死でミサカ妹の引き出すデータをふるいに掛ける。その向こうでほどなく、
「ありましたです!ギリギリタイムリミットに間に合う時間帯に――使えそうな競技が!」
演算室を埋め尽くすほどに展開されたアーティファクトの一片を手に、夕映が歓喜の叫びを上げた。
《それでは、大覇星祭のメインイベントの一つ、ナイトパレードと並行して行われる本日の最終競技――
『鬼ごっこ』です!》
「うちにあったマンガと同じアイデアだねとうま」
「そういうことを言うんじゃありません」
「いつになったら虫の王様の話は続きが載るんだろうね」
「あんまり期待しないほうがいいぞ」
《……以下の生徒を鬼とし、大会本部へと連れて来た学校の得点とします!》
「さて――」
丘の上。五つの影が並び立つ。
「タイムリミットまではあと二時間」
七天七刀を引っ提げて、神裂火織がアスファルトを踏みしめる。
「それまで拠点である世界樹を防衛すれば僕たちの勝ち」
ルーンのカードをシャッフルしながら、ステイル・マグヌスが紫煙を上げる。
「あるいは、あの超とやらの首根っこを捕まえれば万事解決なんだがな」
土御門元春が目にも留まらぬ速度で折り紙を仕上げながら哂う。
「何度か交戦した経験から言わせて貰えば、それは難しいと思って欲しいですね」
宙に十六の短刀を浮かべ、桜咲刹那が目を眇めた。
「で、ござるなー。あっちの使っているインチキを暴かぬ限り、こちらはあちらに手出しが出来ん」
自身の身長を遥かに越える刃渡りを持った巨大手裏剣を携えて、長瀬楓が腕組みする。
「牽制と露払いが関の山と言ったところですか」
「流石のねーちんも神様相手じゃないと分が悪いか?」
「効果のない戦いというのはきついね、精神的には」
だがしかし、眼下に広がる学園都市を見下ろして五人の戦士は――笑うのだ。
戦うことしか知らぬその手で、護れる物があると知っているから。
「なにはともあれ」
「前線は私達にかかっている――!!」
「別にそっちの都合なんぞ知ったこっちゃねーんだよコッチはよ……問題なのはテメェのせいでこっちの日常生活に
支障をきたすってのが勘弁ならねえんだヨォ!」
「きゃー、ミサカはミサカは自分のために立ち上がってくれる白馬に乗った王子様的な存在の登場にちょっぴり心を
ときめかせてみたり」
「お前は黙って言語野働かしときゃいーんだよ!」
「いたたたたでも気をつけて、とミサカはミサカは拳骨でこめかみを抉られつつも健気に忠告してみたり。
相手は書庫にすら存在しない空間移動能力者であり、格闘戦にも特化しているという情報が」
「……ハルナ、超の特徴を何て纏めたか聞てもいいカ?」
「え、中国訛りでー…………」
「……もしかしてそれだけアルカ?」
いきり立つ一方通行と暴れる打ち止め。
二人のイレギュラーを前に……バカコンビは冷や汗を流した。
「まったく、ナイトパレードの真っ最中になっても風紀委員の仕事だなんてついてないにも程があるわよ」
「あらあらお姉様、そんなにナイトパレードを気にするなんて、いったい何処の殿方と
『綺麗ね』『いや、君の方がもっと綺麗だよ』なんていうベタな会話をする気で満々だったんですの?」
「んなッ……!べ、別にあの馬鹿は関係ないでしょ!ただ単に折角の大イベントに参加できなかったのが
惜しいなって言ってるだけじゃない!」
「お姉様、わたくし特に誰とは申しておりませんが」
「パレード……ネギせんせーと一緒に見られたら素敵でしょうね……」
「そうやなー。ネギ君連れて見に行ったら面白いやろに、残念やな……」
「ところであまり見かけない方々ですが、どちらの学園の方達ですの?あと出来れば連携の関係上
能力も教えていただきたいのですが」
「あんなー、確かうちは……おおとりばあす?が出来るんよー」
「わ、私は読心能力者です……あとちょっとだけですが発火能力者でも……」
「何で自分の能力なのにそんなに認識が適当なんですの……?」
「そういえば、この仕事でも点数入るんかなー?一応競技なんやし」
木乃香のその言葉に御琴がピクリと肩を震わせ、
「ふっふっふ……そうねそうよね、そういえばまだ勝負は白黒決着ついてなかったわよね……」
「ちょ、お姉様!?何がいきなりそこまで闘魂に火を付けたのか今の流れでは全く分かりませんわ!?」
「龍宮真名……だっけ?とっととあんたを捕まえて常盤台の勝利への生贄にしてやるわ!」
「……ああ、やっと相手をしてくれる気になったのか。正直無視して進めないかと色々考えていたんだが」
ズビシ、と指差したその先には、呆れた表情の龍宮が。
かくして、超電磁砲と銃使いの闘いが幕を開ける。
「本当はまだ迷っているんです。超さんの計画で、もしかしたら助けられる誰かがいるのかもしれないと思うと。
自分のしていることが、正しいのかどうかって」
「過去を消したって楽になんかなれねえよ」
白紙だった少年の言葉が、世界樹の元に佇む四人の間に流れていく。
「むしろ消してしまったその過去の空白のせいで、何かが足りないままに生きていかなきゃならなくなる……」
「うん、とうまの言うとおり。本当の意味で過去を乗り越える手段があるとしたら、それは振り返ることではなく、
よりよい未来を作ることだと思うんだよ」
「アンタ決めたんでしょ?先生としてあの子のやることを止めるって。自分の過去を背負っても。
それはきっと凄いことだよ。あたしが認めてあげるから!」
「いつだって過去はやり直せない、未来は分からないものなんだ。
それを覆して、本来あるはずだったものまで無くそうとして、それで満足だなんて言いやがるなら――」
幻想殺しの名を持つ欠陥超能力者は、獰猛な笑みと共に断言する。
「そんな幻想は――俺がこの手でブチ殺す」
ああ――そうだ。忘れていた。
師匠は言った。傷つけることを恐れるなと。仲間が傷つくことを恐れるなと。
仲間であろうと敵であろうと、闘わなければ通じない思いもある――
きっと僕は無意識のうちに、自分と父さんに対する甘えが生んだあの惨劇を無かったことにしてしまうという
選択肢に憧れを持っていた。
超さんへの理解を建前にして失敗をやり直す機会を求めたんだ。
それこそが本当に甘えだということに気付かないまま。
ネギ・スプリングフィールドは、己の根幹を成す文言を祈るように呟く。
「わずかな勇気が、本当の魔法になる……」
決意を秘めて、彼は過去の悪夢を押し殺し、
「もう僕は……傷つくことを恐れない!」
未来の妄執を打ち破るべく、並行世界の戦場に立った。
魔法先生ネギま!×とある魔術の禁書目録 クロスオーバー
「とある学園都市の大騒ぎ」
coming later.